2011年にJ1復帰初年度にリーグ優勝を果たした柏レイソル。
J2から押し上げて優勝まで導いたのが、ネルソン・バプティスタ・ジュニオールこと、ネルシーニョです。
その後、2019年に再び、J2に降格した柏レイソルの監督に就任し、1年でJ1に昇格をさせました。
柏レイソルがJ2に落ちるたびにJ1に昇格させてきたネルシーニョ監督ですが、実は日本代表の監督に就任していたかもしれないって知っていましたか。
今回の記事では柏レイソルの監督としての印象が強いネルシーニョ監督のこれまでの人生や監督としての指導歴などを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
今回の記事ではわかることは以下の内容です。
この記事でわかること
〇現役時代の経歴
〇監督としての成績や戦術、好みの選手
〇ネルシーニョ監督のエピソード
この記事の信憑性は以下の内容です。
この記事の信憑性
〇小学生からサッカーをはじめ社会人リーグでもプレー
〇大学時代は指導者を目指し、地元クラブのコーチや教員免許を取得
〇現在は金融関係の企業に勤めています
ネルシーニョ監督のプロフィール
選手たちからは『72nd ANNIVERSARY』と入った30周年記念ユニフォームをプレゼントしましたー???? pic.twitter.com/2Oo7PP8aBu
— 柏レイソルOFFICIAL (@REYSOL_Official) July 22, 2022
まずはネルシーニョ監督の簡単なプロフィールを紹介します。
名前 | ネルソン・バプティスタ・ジュニオール (Nélson Baptista Júnior) |
愛称 | ネル、ネルシーニョ |
生年月日 | 1950年7月22日(2022年8月時点:72歳) |
出身地 | ブラジルカサンパウロ州カンピーナス |
肩書 | 柏レイソル監督 |
ポジション | 現役時代はDF(主にサイドバック) |
Jリーグにはジーコをはじめとして多くのブラジル人監督や選手が在籍していました。
しかし、2022年はシーズン途中から清水エスパルスの監督に就任したゼ・リカルド監督とネルシーニョ監督しかいません。
近年のJリーグには鹿島アントラーズのレネヴァイラー監督をはじめ、ヨーロッパの監督を採用し、よりシステマティックな戦術を敷くように変化してきています。
そんななかでブラジル人監督の陽気なキャラクターや個の技術を活かした戦術は貴重になってきたのかもしれません。
ネルシーニョ監督の現役時代
ネルシーニョ監督の現役時代、ネルの愛称で親しまれており、母国ブラジルのチームを渡り歩きました。
主に攻撃的なサイドバックとして出場していました。
1967年~1970年 | ポンチ・プレッタ(ブラジル) |
1971年~1977年 | サンパウロ(ブラジル) |
1978年~1982年 | サントス(ブラジル) |
1983年~1984年 | ジュベントス(ブラジル) |
現役生活は17年間と長く、ブラジルの名門であるサンパウロやサントスでプレーをしていました。
1975年にはサンパウロ州選手権での優勝やジュベントスでは2部で優勝を果たし、チームの1部昇格を手土産に現役生活を引退します。
ネルシーニョ監督の指導歴は?
長い現役生活後、ネルシーニョが選んだ道は指導者として選手を導くことでした。
そんなネルシーニョがどのような監督してクラブを率いてきたのか紹介します。
先取まとめ
〇ブラジルのクラブを中心として20以上のクラブで監督を歴任
〇ヴェルディ川崎、柏レイソルでタイトルを複数獲得
〇最優秀監督賞(個人タイトル)を獲得
監督しての所属クラブと成績
現役時代にほかの選手と監督との仲を取り持つようなことをしており、それをきっかけに監督を目指すようになったようです。
そんな思いから指導者としてのキャリアをスタートさせると、母国ブラジルとJリーグのクラブを中心に2022年までの37年間で率いたクラブは20を超えます。
有名なところでは、ブラジルのサンパウロやサントス、本田圭佑選手が所属していたゴイアスなどがあります。
Jリーグでは、ヴェルディ川崎(現:東京ヴェルディ)や名古屋グランパス、ヴィッセル神戸などでも指導をしました。
Jリーグでの主なタイトル
〇1995年NICOSシリーズ:1位/14(ヴェルディ川崎)
〇2010年J2リーグ:1位/19(柏レイソル)
〇2011年J1リーグ:1位/18(柏レイソル)
〇2013年ヤマザキナビスコカップ:優勝(柏レイソル)
〇2019年J2リーグ:1位/22(柏レイソル)
また、2011年には個人タイトルとして、最優秀監督賞を受賞しています。
Jリーグで監督をすること通算で13年になるネルシーニョ監督ですが、2年に1度は結果を残していることがわかります。
特に柏レイソルを昇格させた翌年は大きなタイトルを獲っているので、しっかりと勝てるチームを作り上げていることが伺えますね。
ネルシーニョ監督の戦術や好みの選手は?
チームとしても個人としてもタイトルを獲得しているネルシーニョ監督ですが、どのような戦術や選手を駆使しているのでしょうか。
先取まとめ
〇戦術・フォーメーションは相手によって変更するスタイル
〇基本フォーメーションは3-4-2-1、4-4-2など複数ある
〇相手に合わせた可変的な戦術(ミラーゲーム)のため戦術理解度やハードワークができる選手が必要
ネルシーニョ監督のフォーメーションは?
フォーメーションは相手のクラブに合わせて可変的であり、4バックとの時は、4-4-2や4-3-3、3バックの時には3-4-2-1、3-3-2-2(3-5-2)などと変化をします。
2022年シーズンは基本的に3-3-2-2のフォーメーションを多用しています。
そして、先発する選手を頻繁に変えることもネルシーニョ監督の特徴であり、フォーメーションも選手も流動的になります。
ネルシーニョ監督の戦術は?
ネルシーニョ監督の得意な戦術としてはミラーゲームがあります。
対戦相手と同じフォーメーションで行う試合をミラーゲームと呼びますが、この戦術には以下のような特徴があります。
特徴
〇マークがしやすく・されやすい
〇数的優位を作られにくい・作りにくい
〇フォーメーションで優位を作られにくい・作りにくい
〇対戦相手の特徴を消すことができる
ミラーゲームは選手の配置が同じになるため、マークする選手はわかりやすいのですが、マンツーマンになることが多いです。
つまり、フォーメーションでの優位性によるものではなく、選手の強さによりゲームの行方が左右されることになります。
しかし、それでは選手を揃えている格上のチームが有利になってしまいますが、そこは運動量を増やす事で局所的に数的優位を作り出すことで、カバーします。
2022年シーズン(8月時点)はチーム走行距離が全体の5位とデータでも裏付けられます。
ネルシーニョ監督の好みの選手は?
可変的なフォーメーションと戦術を得意とするネルシーニョ監督は、どのような選手を好むのでしょうか。
好みの選手
〇ハードワークができる
〇戦術理解度が高い
〇複数ポジションができる
基本的には相手に合わせて戦術やフォーメーションを変更するため、戦術への理解度が高く、きちんと与えられたタスクをこなすことはマストになります。
それに加えて、流動的に選手を起用するネルシーニョ監督からすれば、複数のポジションで仕事のできる選手が必要になります。
また、ミラーゲームで局所的な優位を作るためにハードワークができる選手も好まれる傾向にあります。
2022年シーズンであれば、マテウスサヴィオ選手や小屋松知哉選手のような方がネルシーニョ監督の好みの選手ではないでしょうか。
インタビューで放った腐ったミカンとは?
実はネルシーニョ監督が日本代表の指揮官として活躍していた可能性があることをご存知でしょうか。
その時のインタビューで放った「腐ったミカン」発言は今でも有名な話ですが、ここで紹介します。
日本代表監督「ネルシーニョ」誕生?
ドーハの悲劇、1994年に開催されるアメリカワールドカップのアジア最終予選がカタールのドーハで行われ日本はイランに敗れ、ワールドカップ出場を逃します。
それを機に「世界の修羅場をくぐった監督」が必要であると考え、代表監督として定評があったが、国際的な舞台でタイトル獲得経験に乏しいハンスオフト監督が解任されました。
そこでブラジルのスーパースターファルカンが連れてこられるも若手中心の人選や難易度の高い戦術により、わずか9試合で解任となってしまいます。
その後、日本人監督の加茂周が監督に就任するもなかなか結果を出せずにいました。
そこで白羽の矢が立ったのが、当時ヴェルディ川崎の監督をしていたネルシーニョ監督であり、基本的な内容も合意をしていました。
しかしそこで事件は起こってしまいます。
JFAによる突然の加茂周監督の続投発表により、ネルシーニョ監督が日本代表監督に就任することなくなりました。
この発表を受けて、当時のネルシーニョ監督は「JFAに代表監督を選ぶ権利はあるが、おふざけをする権利はない。ナガヌマ(長沼健)、カワブチ(川渕三郎)は嘘つきで腐っている。残念ながら、箱の中には必ず『腐ったミカン』があるものだ。」と発言をして痛烈に批判をしました。
これが俗に言う「腐ったミカン」事件です。
腐ったミカン事件のまとめ
〇1994年W杯予選での敗退(ドーハの悲劇)を受け「世界の修羅場をくぐった監督」ファルカンが日本代表監督に就任
〇ファルカン監督の若手起用や高度な戦術への理解度の乏しさから9試合で解任
〇「コミュニケーションが円滑にとれる日本人」としてい加茂周監督が就任
〇成績不振のためネルシーニョ監督に声がかかり、上手く交渉が進む
〇その後加茂周監督で続投する旨の記者会見を行う
〇ネルシーニョ監督はインタビューで「JFA(箱)の中に『腐ったミカン』がある」と発言
〇ネルシーニョを推していた強化委員長らは辞任する
〇1998年W杯予選途中で加茂周監督解任
加茂周監督は非常にクレバーであり、戦術も優れている監督でしたが、流れが悪すぎますね。
アキレス腱の怪我と手術
2022年で72歳になるネルシーニョ監督ですが、実はアキレス腱を断裂して手術をしていました。
選手ではない監督が大怪我をしてしまい戦線離脱をし、ルヴァンカップも欠場していました。
話題に事欠かない監督で、個人的には面白いと思っています。
ネルシーニョ監督の総合評価は20点/25点
ここまでネルシーニョ監督の指導歴や戦術などについて紹介をしていきました。
おこがましいですが、以下の観点からデスラジおじさんなりの評価をしたいと思います。
あくまで、一意見ですので、意見や反論は認めますので、優しい目で見てください。
ポイント
〇戦術:相手のスタイルに合わせて自在に戦術を変更することができることからサッカーへの知識の深さを感じる
〇コミュニケーション:外国人監督であるが卓越した観察眼から円滑なコミュニケーションができている印象
〇采配:ズバリと的確な采配を見せることがある印象
〇選手の成長:とにかく観察することが多いこと、多様な戦術・ポジションでの起用から選手の成長につながる
〇魅力:腐ったミカン事件やアキレス腱の手術など話題に事欠かない
ネルシーニョ監督に興味を持った方へおすすめ
ネルシーニョ監督や柏レイソルに興味を持った方、もっと知りたいと思った方にはこちらをおすすめします。
ポイント
〇ネルシーニョ すべては勝利のために(ぱる出版)
〇Decade柏レイソル10年史
まとめ
今回の記事ではネルシーニョ監督の指導歴や戦術などを紹介しました。
Jリーグ屈指のブラジル人監督であり、面白いエピソードを持った人物です。
これからの活躍に期待したいですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
柏レイソルの経営状況もまとめましたので、ぜひご覧ください。
その他の監督もまとめていますので、ぜひご覧ください。